エデン

彼は3つ目の名前でこの街に流れ着いてきた
しくじったのは俺じゃない でも怯えたような暮らしがずっと続いてる
忘れるためだけに生きてきたんだ

彼女は今夜もタクシーのバックシートから身を乗り出し
酒臭い息を吐きながら平凡な幸せについての願望(ゆめ)を喋ってる
聞き役は必要ない一人舞台で

報われない夜をいくつも抱え 救われたい朝を何度も湛え
まるで迷子救護室の中で ずっとずっとうずくまっていた

優しくしてくれただけで ほんとうにうれしかったんだ
まぼろしじゃないと ずっと信じてる


人波を上手くかきわけるにはポーカーフェイスの笑顔がコツらしい
欺瞞に満ちたパレードから こぼれ落ちるように出会った2人は
孤独を自ら纏うことで裏切られることにも慣れてきたんだ
2回ずつ泣いた後でベッドにすべりこみ固く手を握り合って
最後にもう1度だけ泣いて眠った


彼 : 思い切り泣ける誰かが欲しかったんだ
彼女 : 誰に抱かれてても寂しかった
まるで迷子救護室の中で取り残された2人だった

優しくしてくれただけで ほんとうにうれしかったんだ
まぼろしじゃないと ずっと信じてる


彼の眠りを妨げたのは彼女が呼ぶ最初の名前だった



written by Takeshi Urataxxx