あぶなかったぜ。

今、サイモン&ガーファンクルのベスト盤を聴いている。


それで思い出した。


中1の終わり頃、友達3人で殆ど同時期にギターを買った。

しばらくするとやっぱ「バンドをやろう!」って話になるじゃん?
オレは野球部を辞めて髪も伸びてたから2年生になってたかな?

でさ、そんなに好きな奴じゃなかったけど、小学生の頃からバンド経験があるドラムの奴がいたの。
しかもそのメンバーのベースの奴なんて、本物のリッケンバッカー持ってんのよ。
(同級生よ。中学生よ。めちゃめちゃボンボンや〜。)


で、相談に行ったわけ。
「バンドって何?何したらいいの?」みたいな感じで。
もう“先輩!”みたいな感じ。
「よろしくお願いしま〜す!」みたいな態度で。


そいつはビートルズなんてバリバリに知ってるし、いろんなロックも知ってたの。
自分で「リチャード・ハリス」なんて芸名も付けてたりして。
もうそいつの部屋なんてドラム・セットが“どーんっ”と置いてあるし、レコードもたくさんあるし、
外国人のロックのポスターがガンガン貼ってあるのよ。
もう圧倒されたよね。
こんなに外国文化に精通してるなんて、もしかして外国人とのハーフか?ぐらい思ったもん。
「大人〜っ」って感じ。
オレの部屋なんか、ピンクレディーと長嶋茂雄とブルース・リーのポスターだもん。


で、話し合った。
「とにかく曲を練習してみよう」ということになった。
「たぶん、これがいいんじゃないかな?」と“先輩”が言った。

サイモン&ガーファンクルの「ミセス・ロビンソン」
(映画「卒業」の挿入歌ね。)

オレはビートルズがやりたかったけど、なんせ“バンド”を知っている“先輩・リチャード・ハリス”の言うことだ。
「おそらく初心者には適正なんだろう」と思って納得した。
(今、聞いたらめちゃめちゃむずかしーってのっ!)


なんとなく「ヴォーカルは健志」ということに決まってたんだけど、“先輩”が言い出した。
「でも、ベースがいないとなぁ〜」と。

そう、初心者3人はそれぞれギターだったのだ。
一瞬張り詰めた空気があったよね。
「げっ!ベースに指名されたらど〜しよぉ〜」って。
「オレ、買ったばかりなのにぃ〜」って。


そして“リチャード・ハリス”が言った。
「ポール(マッカートニー)も唄いながらベースをやってるから、健志、ベースやれば?」って。
「おっ!そうかポールか!」と一瞬ノセられそうになった。
他の2人はホッと胸を撫で下ろしたことだろう。


いやいや、違う!
そりゃビートルズのポールも魅力的だけど、それ以上にオレはレコード屋に貼ってあった
ジミー・ペイジやエリック・クラプトンがギターを弾いてるポスターの姿に“やられて”ギターを買ったのだ。


そりゃ、ゴネた。
「ギター・花形、ベース・地味。」というイメージもあったしね。
“ピッチャーで4番”体質のオレがやるものではない。

「じゃ、とりあえずベースは後で考えることにしよう」ということになった。


で、「ミセス・ロビンソン」。練習したよ〜。
ギターで1番になってベースに回されないようになるためにね。


そしたら、あとの2人。
「むずかしかったから、やらなかった。」だってさ。

「あらっ???!!!」
コケた。


で、もう集まることもなく自然消滅。解散・・・・・。
2人は不良の道へと走っていった。(しかも、ハンパな。)
いきなり矢沢永吉のファンになっていた。
でも、“成り立ての知ったかぶり”だったから
「やっぱ、ヤーちゃんはいいよなぁ〜」とか言っていた。
間違っていた・・・・・。
“エイちゃん”だっ!矢沢の“ヤ”じゃないっ!永吉の“エイ”だっ!
もちろん訂正させていただいた。
“ハンパ感”と“小物感”が満ちあふれていてトホホだった。



あの時、ベースに回されていたら・・・。
今のオレはなかったかもしれないな。
ガーッと唄いながら“小粋”なフレーズなんて弾けないし。
性格も変わってたかもな。
人間にはポジションっていうのも少なからずあるしな。


あぶなかったぜ。