「アサ子事件」にまつわる“カチン”ときた事柄

ちょっと前に「VOICE」に書いた。

“自分”を手前に置かない、ってこと。
じゃあ、自分を置き去りにして他人を置けばいいのか?
という短絡的なことではなく、「自分以外のものを手前に置いて考えたっていいだろ?」ってこと。


今回の“アサ子襲撃事件”にまつわる事柄の中で、カチンときた事が多々あった。
カチン、もしくは、驚き。

人間とはこんなに醜いものなのかと。



<1>

第一発見者は近所のオバさん。
このオバさん、近所のゴシップなんて大好物なタイプ。

オレが家に向かう途中、血を洗い流していた最中の、このオバさんと会った。

「お母さん、大変だったのよ」

それが、洗い流してる血と関係することは、すぐにわかったし、それがどんなに“大変”なことかも察知した。

一大事、早く母親の元へ駆けつけなければいけない状況の中、オレに対してバラバラ喋りまくる。
まるで自分の手柄を話すように。

今、ここで、その時の状況などを聞く必要はないのだ。
ましてや、あなたの“気持ち”などは。

今、大切なのは、一刻も早く母親に会うことなのだ。

「とにかく、早く行ってあげなさい」

なぜ、それが言えない?



処置中に、帰りに母親を乗せるために車の鍵を家に取りに行った時だってそうだ。

現場では現場検証と聞き込み。
第一発見者の近所のオバさんが立ち会っていた。

このオバさん、急いでるに決まってるオレに、また呼び止めるように話しかけてきた。

このオバさんは、血を洗い流してくれたのだが、その行為は捜査にとってはアダとなった。
でもそれは、母親が「救急車も警察も呼ばなくていい」と言ったし、
好意でやってくれたことだから、有難いと思ってる。


オバさん、訴える。
「洗い流しちゃったのが、いけなかったみたいで、私いけないことをしたみたいで、
こんな時間に、こんな格好(ナイトガウンみたいなやつ)で立ち会って(あげて)るのに、微妙な立場」などをベラベラと。


オレ、思う。
「てめぇのことなんか、どうでもいいんだよ!こんな一大事の時に!てめぇの格好なんて誰も気にしちゃいねーよ!
しかも急いでることぐらい解れよっ!」と。




<2>

警察と救急車が来る間、母親を母親の友達に任せて、オレも血を洗い流していた。

やがて、救急車のサイレンが聞こえ家の前に止まると、2軒隣の女が出てきた。

「なにかあったんですか?」と、オレに聞く。
「怪我しちゃってね、ほら、血」と、オレ。

そしたら、「火事とかじゃないんですか?」と、聞く。
「火事じゃないですよっ!」と、オレ。

サイレンの音からしても、血の様子からしても火事なんかではない。

この女、ホッとしたような顔をしやがった。
自分が安全だとわかったわけだ。
自分の心配しかできないのか?

会ったらこっちが挨拶してるのに、まともに挨拶を返せない奴だけのことはある。





<3>

病院で処置を終えた後、警察の鑑識が傷の写真を撮りたいと言う。
鑑識の人が、それをナースに告げる。
ナースが言う。
「どうぞー」

どうぞ、と言われてもガーゼを剥がさなければならない。それを言う。
そしたら、ナース。
「あたしがやるんですか?」ときた。
その言葉の態度は「なんで、あたしがやらなくちゃいけないの?」の響き。

オレは耳を疑った。鑑識の人も同様。

お前がやらなくて、誰がやる?

オレは語気を強くして言った。
「やってくださいよ!」

ナースの言い分としては、“ただテープで貼ってあるだけなので誰でもできる”ということ。

だけど、あんたはそれを知ってるだろうけど、こちとら素人。
しかも素手。
素人でもバイキンの心配が頭をよぎる。


その、説明という言い訳つきで、渋々、もしくはプチ逆ギレでガーゼを剥がした。


今どき、ソバージュをかけた、ヤギみたいな顔をした女。
その髪型からも、職業意識が欠落してる。



<4>

オレは、普段からナイフのような男だが、この時はいつもよりも倍増でナイフのようだっただろう。
そこに触れたらいけないポイントがいくつもあっただろう。

親父にもカチンときた。

「あわてちゃって走ってきちゃったよ。家に着いた時はゼエゼエしちゃったよ」と言った。


オレ、思う。
「なんだ?なんのアピールだ?自分の努力なんて、どーでもいいんだよ!走ってくるなんて、あたりめーじゃんか!
てめぇのことなんか、どーでもいいんだよ!」

オレは、それに対して何も応えないとこで反応した。



<5>

これは驚いたというか、あきれた。

翌日の病院でのこと。
診察中、「この先生(なんて言いたくない。“あだ名”としての“先生”くらいなもん)、
カルテばっか見て、ぜんぜん人の顔を見ないなぁ」と、思っていた。

話し方もダラダラしてるし、やる気あんのか?と、思っていた。

「どうして殴られたの?」が、あきれる会話の糸口。
すると、こう言いやがった。
「なに?顔面?」

オレ、当然言う。
「顔面じゃないっすよ!」


あきれた。

これ、絶対、病院に報告するから。
もちろん、ヤギのことも。



<6>

そして、警官・小泉!

お前、アタマ悪すぎ。
正義感も無さすぎ。

いいか、素人のオレが教えてやったことを、よ〜く覚えとけよ!

物事ってのはな、多角的に見なさい。
っつーか、その前に、球体から角を取っていく作業をしなさい。

それが、プロってやつだ。
それが説得力ってやつだ。

勉強になったな。

でも、小泉。君は刑事にはなれないぞ。



<7>

そして、「傷つけた相手がいる怪我」だからって、病院で保険が利かないってことも驚いた。
犯人が捕まれば、そっちから取るってシステムなんだろう。

「被害届を出すか、出さないか」の話しの時も、保険のことは警察も言っていたが。

こっちは、余罪であがらない限り、犯人が捕まるなんて思ってない。
だけど、こういうことはちゃんと“事件”にしないと母親は浮かばれないし、
悪い奴がのさばるだけだという正義感から被害届を出すことに決めた。


なんなんだ?この制度。
やられ損じゃないか。
生死に係わるような重体だったら、保険無し10割なんて払えない人もいるだろう。
「だったら、被害届は出しません。泣き寝入りします」というケースも多いだろう。

ま、後は役所との相談らしいが、その前のやりかたとして、いくらでもあるんじゃないか?





ホントに最近思う。
どいつもこいつも、自分の保身ばっか。
それは“自分を大切にする”ということとは違う。