ミュージカルスターの引退

初のミュージカル出演も、おおかたの好評を得て幕を閉じました。

公演終了から4日。
まだ社会復帰が出来てない感じ。
フヌケ状態である。
気がつくとセリフを呟いてたりする。


いやぁ〜、丸々3ヶ月の稽古。長かったなぁ〜。
しかも濃密な3ヶ月でした。
毎土日は朝の9時から夜の10時まで。その他、平日1回。

何度「もう帰りてぇ〜!」と思ったことか。
何度「もう辞めてぇ〜!」と思ったことか。
空が青く、白い雲がポッカリ浮かんでる日の稽古日なんて「このまま逃亡しちまおうか?」なんて。

元々、練習嫌いで「本番でどうにかなる!」ってタイプのオレが、よく頑張ったわ。


1週間に2〜4冊は本(小説とか、いわゆる書籍)を読む、ある種活字病のオレが、この3ヶ月は1冊も読まなかったもんね。
本屋にもあまり近づかなかった。買いたくなるから。

その分をセリフ覚えの時間に充てていた。
その時間を使わないと、他の人に追いつかないかも?という危機感があったからね。
電車の中でも、車の運転中でも、“悪の権力者・トレモワイユ”の顔でセリフを呟いてたもんね。
すっかり人相が悪くなったんじゃないか?ってぐらい。
傍から見た人は「何この人、怒ってんだ?」みたいな。

音楽に関してなら、ある程度(あ、いや。簡単な)因数分解は解けるけど、芝居に関しちゃ足し算引き算もできないわけだからね。
そりゃ、本だって人一倍読むし、映画だって芝居だって観てるし、ステージもやってるけど、“芝居経験者”じゃないからね。
その程度で自分の感性を信じちゃいけないというのは、分野に関わらず常に肝に命じてる。

だから参加する時に最初から決めてたの。
“真っ白な状態”で臨もうと。 “スポンジのよう”でいようと。
その上で、養ってきたセンスを乗っけようと。(エロのセンスじゃないぞ)
それは最後まで貫けた。そういう自分でいられた。萎縮することなくね。


オレが一番年上だったんだけど、そんなことは関係ないのね。
なんせ、新人であり、未熟者だし、ど素人だからね。
「オレは音楽やらせたらスゲーぜ!」なんてエゴは邪魔なだけなのね。
そんなものは通用しないと思ってるしアピールもしなかった。自他に対する言い訳にもしなかった。
だって役者やろうとしてる現場なんだもん。
そんなのに驕ってたら“うすっぺらい”じゃん?最後のサムライとしても。
己を知るには、ちゃんと引いて知っていかないとね。


いやぁ、ほんとに、年を重ねてもさ、そんな状況に身を置ける自分でよかったよ。
しかも、損得勘定がまったくない部分でね。


あ、そうそう。
稽古の終盤になるにつれて、(よくあることとして)セリフが変わったり、振りが変わったり加わったりしてバタバタ状態だったんだけど、
オレは逆にワクワクしてた。気持ちも軽くなっていった。
「おー、そろそろ(ようやく?)本番だー!」って感じで。
稽古で上手くやるより、本番にしか標的を合わしてなかったしね(その分、周りには迷惑かけたかもしれないけど)。

その切羽詰まった最中に、1から新曲を書き上げたってのもエライっしょ?

イチローと佐々木主浩(共に野球選手。佐々木は引退)の対談でイチローが言ってた。
「佐々木さん、練習中いっつもゴルフのスィングばかりやってたもん。ユニフォーム脱いだらいずれまた野球をやりたくなりますよ。
そんなもんですよ」みたいな感じで。

やっぱ、オレも「音楽やらなきゃ」って感じだったのかな?


とにかく、いい経験をさせてもらった。
“同じ釜の飯を食った”感のある仲間にも出会えたし、感謝してる。

そして、オレの初体験を保護者のような気持ちで観てくれた沢山の人、ありがとう!
「何やらせてもタケちゃんはスゲーな〜〜〜!!!」と思ったことであろう。ガッハッハッハー!


ということで、ミュージカルスターは引退したのである。



余談1:
終わった次の日、さっそく本を買った。
大竹しのぶ 著「私一人」だ。
あかん。。。役者物じゃんか。。。


余談2:
勢いに乗って、いっそのこと劇団でも立ち上げるか!なんてちょこっと思った。
なぜなら、音楽の手段と同じように、脚本・演出 兼 役者のスタンスの方が自分に合ってるのでは?と勘違いしたからだ。
(その才能があるなしは別として)

そして想像する。ヴィジョンを立てる。

その劇団、オレ以外は全て選りすぐりの美女で構成してる“美女劇団”なのだ。
たまには客演で男も入れてよいが。
そして、やたら合宿が多い。しかも山奥か温泉場。


ってのはダメだろうか?
誰か一緒に旗揚げしないかい?





稽古終盤、初メイクのトレモワイユ
ヒゲ、半分自前。