お題「お金」

昔、親父に言われた。例えば、1200円のA定食と900円のB定食があるとする。

「本当はAを食べたいけどBの方が安いからBの方を注文する。ということは絶対するな」と。
「どんなに金が無くてもAを食べるお金があったらAを注文しろ。食べるものくらい食べたいものを食え」と。
「金が無いと心に余裕が無くなる。だけど、金が無くてもセコくなるな。人間まで小さくなるから」と。

気がつけば“親父ゆずり”である。

“貧乏”は許せるけど、
“貧乏くさい”のを目の当たりにすると嫌な気分になる。

“セコい”
と感じる人間はどうも最後は信用できない。

“セコい奴”は金の有無だけに関わらず、全ては「心の余裕の無さ」が露呈するわけだが、
特に左右されやすいのが“金”であろう。

金に関してセコさが見える瞬間がいくつかある。
例えば何人かで飲みに行ったとするでしょ?会計の時に、なんかソワソワしてる奴いない?

「おっ、いくら?」とか参加しないで、なんかオドオドというか渋々してる奴。
言われるまで待ってるような奴。
“あわよくば100円でも少なく”みたいな態度の奴。(いない?オレはよく見るけど)

そういう協力的じゃない奴がいると、会計係になった奴も「割ると2930円ずつだから、とりあえず3000円で…」
とか言う時も申し訳なさそうにしてることあるもんね。

たまたまレジに一番近いから会計係になっただけなのに、そいつが“元締め”みたいに見られたりしてね。

その辺考慮してあげるためにもパンッと出そうよ。払うの分かって来てるんだから。

あと、金持ちのスポンサーがいると判ると子犬のような態度で目の色変えて、
いつもの経済観念をはるかに超えて注文する奴ね。情けないよ。


また酒場での出来事でこんなこともよくある。

例えば行きつけのバーでオレは男2人で飲んでる。
ふと見ればカウンターに女子2人組がいるではないか。
で、声をかける(実際はこれに至る勇気が出るまで30分以上はかかっている。松嵜さんはよく知っている)。

「一緒に飲まない?」
フレンドリーな笑顔で。

女子2人組の第一声が問題である。

「奢り?」

これ、マジで言ってるからね。
この一声でオレの笑顔は色を失くし
“横山やすし”に変身する。

「おい、ちょっと待て」と。

「お前らなんでも金か?」と。

「世の中ゼニや!」なんて開き直りの頭の悪い解答をする女もいる。

オレはこう応える。
「じゃあ、いくら積めばどれだけのことヤラせてくれんだよ?」
ある意味セクハラではあるが…。まあ、まともな会話なんかできないわな。

別に奢るのはいいの。だけどそれは「一緒に飲んで楽しかった。ありがとう」という意味で金を払うんだ。
初対面の男にあたり前のように奢られることを覚えるなよ。

最初から、しかもそっちから金のこと持ち出すなよ。金が無いならさっさと帰れよ。
女を下げるよ。
レヴェル低いぞ。
でもオレはこんな程度の低いこの女にいつまでも腹を立てはしない。

徒労だからだ。ベクトルはこんな女をのさばらせておく男どもに向かいため息を吐く。

男は大抵
「おっ、いいよいいよ。奢るよ〜ん」なんて言うとでも思ってるんだろう。

そんなサンプルが多いんだろう。それがこの程度の奴らの
“優しさ”“いいひと”だもんね。

まあ、男もとりあえず席に着かせなきゃ始まらないし、口説けないってのもわかるけどさ。
デキりゃいいってもんじゃないだろ?なめられてるぞ男っ!

オレはこの程度の男と肩を並べたくないし、女も相手にしたくない。
気持ちがセコいのよ。たかが5.6千円で自分を売るような真似すんなよ。

奢ったり奢られたりってのは、お互い気持ち良くやりたいものである。割り勘もね。

それは良いリレーションシップの表れだろう。

誰だって金は欲しいだろう。そして大切なものだろう。
でもそこに左右されて人間関係をおかしくするのは悲しい。

今の世の中、大抵のものは金で手に入れることができる。
人の心まで買える。命までも。

でも“金で買えない大切なもの”をオレは知ってる。
「きれい事」と言われてもかまわない。

その人が知らないものをオレは知ってる。
それは“人間”が介在する。“心”が介在する。

そして、オレには友達がいる。“買えない心”を持った友達がいる。
そいつらを思い浮かべるだけで涙がこぼれてきそうだ。でも顔は微笑ってる。

オレはそれを失わないためにも、この心を失くさない。親父の言葉も忘れない。
誰か、オレを試すために目の前のどーんっ!と
10億ぐらい積んでみないか?
いや、1億でいい。あ、3000万でも…。
寝返ったらごめ〜んねっ。


最後に「金」という字の作りを見てほしい。
「金」は「屋根の下で」「二人が」「小さく」「一つになる」ためにだけあればいい。
と出来ている。(所説:浦田健志)

いや、もっと欲しい。