お題「オーラ」


昔、所属してたプロダクションの廊下のまがり角で井上陽水氏とぶつかりそうになったことがある。

その瞬間は陽水氏とは気付かなかったんだけど、オレは3歩ぐらい退いだ。
(いや、1歩かな?気持ちの上では5歩ぐらいのような気がする。)
陽水氏は体もデカイし、威圧感のある風貌(失礼。)ではあるが、
オレは単に驚いて飛び退いたわけでも、先輩に道をお譲りしたわけでもない。

オーラを感じて圧倒されたんだね。

なんかバリアー張ってるみたいだったもん。
もう、
“壁”

その時、あの声で「しつれぇ〜〜〜い」と言われて陽水氏だと気付いたんだけど、

「おぉぉ〜〜〜、スタ〜〜〜〜☆☆☆!!!」
と思ったもんね。

そしてもうひとり、“日本で一番オーラのあるロックスター”(誰が決めたんだ?)

 E・YAZAWA

E・YAZAWA氏とは行きつけのバーで何度か遭遇したことがある。

誰もが口を同じくして「オーラがすごいっ」と言う。

でもE・YAZAWA本人が言ってるように、仕事を離れたプライヴェートのそういう場所ではフツーに溶けこんでんのね。
気がつかないくらい。(多少、身振り手振りは激しいが。)
(例の声で
「よろしく」って帰ってくけど。)

ちゃんとスウィッチングしてんだね。じゃなきゃ疲れるよね。きっと。

ずっと気を張って
「俺、矢沢。」で居たら、楽しめるものも楽しめなくなっちゃうだろうしね。
いつも“オーラ出しっぱなし”じゃ家族も疲れるし。

オーラというのは、きっと否応無しに放たれてるものかもしれないけど、コントロールはできるだろう。

ON/OFFの使い分け。
これ大切だと思う。自分を見失わないためにも。


オレは、といえば。オーラがある、ないは別として、
「ステージの上と下とじゃ全然違う」と言われる。

でもそんなのあたり前だよね。
ステージ上じゃ喜怒哀楽もハッキリ出るし、普段とは全然違うエネルギーでやってるわけだから。

オレは普段は“どーでもいい”と思ってるタイプなのね。

だからライヴ後の打ち上げなんか多少テンション引きずってても、オーラなんか微塵もない。

「本当にさっきまで唄ってた人?」って感じ。OFF状態。


オレ、バンドやりたての全然アマチュアの頃から
オレの意向でファンを打ち上げに誘ったことってないのね。

ステージ降りてまでチヤホヤされてたら「オレって人気も〜ん」っていい気になって勘違いしちゃうって。
(そんなバンドをいくつも見てたからさ。)そんなとこ目指してない。って思ってたんだ。
(まあ、何十人も来るわけじゃないんだけどね。)

本音を言えば、居酒屋の向こうの座敷で他のバンドがファン(女子)を呼びまくって
「イェ〜イ!」なんて楽しそうに飲んでるのを見るとちょっとうらやましいけどさ。

そりゃ主役だし、なにやっても注目してくれるから気持ちいいと思うよ。
“お持ち帰り”もあったりして。(そんなの一度もねぇよ。くっそー!)

でも、打ち上げってのは演者にとって、やっと気が抜ける至福の時だと思うんだよね。

「かんぱ〜い!」ってやってビールを口にする。すごく美味い。
「この瞬間をむかえるためだったのかもしれない」ぐらい思うもんね。

そこでスタッフやバンドメンバーや気の知れた友達とライヴについて
“あーでもない、こーでもない”と話すのがこの上なく好きだ。

そこにファンの人がいると絶対気ぃ遣うしさ。どっかでずっとONのままでしょ?
オレはバンドメンバーの彼女でさえ、気ぃ遣うような人だったらダメなんだから。


オレはリハ終わりからステージが終わってからのしばらくの時間まで、
誰とも口をききたくないほどONが持続タイプだからさ、OFFはOFFでしっかり開放したいんだよね。

そりゃファンの気持ちだってわかる。
オレだってポール・マッカートニーが居酒屋で打ち上げやってたら行きたいもん。(やるわきゃないっ。)

言っておくけど「ファンはファン」という差別でも区別でもない。むしろ特別に思ってる。
ただの友達なら、ちょっとばかし悪いライヴをやったとしても付き合いでまた来てくれるでしょ?
だけどそんなところを相手にしてるわけじゃない。

“身内”みたいな感覚で情に訴えるように「次回もよろしくね〜ん」みたいのもとんでもない。
だから、毎回動員のためにとかノルマのために熱心に誘うこともない
(本当はそれじゃいけないんだけどね)。


オレは誰のためにステージで唄う?オレだけの快楽とか目的のためだけじゃない。

何のしがらみも義理も企みもなく、ただ純粋に「浦田健志を見たい」と思ってくれて、
来てくれた人に「あ〜、来てよかった」と思ってもらいたいために汗をかく。

“良くないステージをしたら二度と見に来てくれないかもしれない”
というギリギリの関係性だからこそ頑張れる。
そこに「明日があるさ」なんかあるわきゃない。

そして、胸いっぱいの「ありがとう」だ。
ここで演者としての浦田健志の役目は終わってる。
(まぁ、会場の外にだ〜れもいないのも淋しいんだけどね。)
ここまでがONだ。このメリハリは大切にしたい。


とは言っても、プライヴェートでもONの状態は多い。特に飲み屋。

オレは無愛想ではないし、威嚇してるつもりもないのに、
よく「恐い」とか「近寄りがたい」とか言われる。ある種のオーラを発しているんだろう。

オレの特徴は“お茶目”だし、“オープンな性格”だし、
“フレンドリー”だし、“人を笑わせるためのアホアホ度は天下一品”なんだけど。
しかも
“たれ目”だ。

だけど何となくわかる。

松崎しんたろうの奥方と結婚前に初めて会った時、オレを評してこう言ってたらしい。

「見透かされてるようで恐い」と。

その時は合コンみたいなノリでオレはいつものようにハシャいでいたのにだ。

それを聞いたオレは「おっ、さすがお前の彼女だ。するどいっ!」
「ちゃんと人を見てる人なんだな」と思って、彼女を好きになった。
いや、むしろ愛してる。是非、次はオレの子供を産んでくれっ。


そう、オレはとかく馴れ合いやうわべだけで成立してる人間関係をどこかで拒絶してる。

きっと、本質を見ようとしてるんだと思う。逆に言うと“魂のふれあい”みたいなものを欲してるんだ。

こっちはいつでも心を割る準備をしてるんだから、“覚悟してかかってきなさいっ!”
というオーラなのかもしれないな。

“うわべ”の付き合いに馴れてる人にはきっと躊躇があって恐く映るのかもしれない。



オレは太ってないし色白だけど体温が高い。血が熱いってことだ。まあ許してくれ。