お題「チューニング」

先日の事、午前4時すぎにケータイが鳴った。

ディスプレイに表示された名前は中学以来の友人。

あだ名は「フグ」。

今は日曜日の深夜、または月曜日の朝方ともいう。

フグがこんな曜日のこんな時間に電話をかけてきたことなど一度もない。(普通ない)

オレは
「何かあったに違いない…」という不穏な気持ちですぐさま電話に出た。

「どうしたっ?!」
せっぱつまった言い方になっていただろう。

「いや、この時間起きてるのはタケシぐらいだと思ってさぁ」

おうっ、お察しの通り起きてたよ。

「今、蒲田(東京都大田区)にいるんだけど」

ん?蒲田?なんでそんな所にいるんだ?

フグの家は埼玉の浦和である。

“フグと蒲田”まったく結びつかない。

「俺、バカなことやっちゃってさぁ」
とフグ。

ど、どぉした!?何があった!?
犯罪でもしたのか?それとも巻きこまれたか?

蒲田だろ?なんだかヤバそうだ。

まさか、キャバクラのおねえちゃんにでも嵌まって駆け落ちか?
それともボッタくられたか?さまざまな不安が瞬時に交叉した。

助けがいるのか?おうっ!その手のことはオレにまかしとけっ!
オレの中には北方謙三とロバート・B・パーカーの血が流れてるぞっ!

と、気持ちの中で意気込んでいただけに、フグの報告はオレを拍子抜けさせた。

「最近、冒険家が行方不明になったじゃん」と始めた。
(南極から日本まで(だっけ?)歩こうとした人)

「俺さぁ、急に休みが3日取れたからどっか旅行にでも行ってくるってリエに言って藤沢を出たんだけど、
お金がないことに気付いてさ」(リエとは、フグの妻。藤沢とは神奈川県にある妻の実家である。)

「そしたらその冒険家のことを思い出して真似してみようと思っちゃてさぁ」

要するに、藤沢から浦和まで歩いてみようと思い、それを実行してる最中だという。

もう足が前に出ない状態になってファミレスで休んでる時に「誰かに報告したくてさぁ」

ということで電話してきたのだ。外は雨だった。


まったく…。笑わせてくれるよ。オレはこんな
アホな友人を持って誇らしいよ。

こんな奴がいるからこそ
「ガキになめられるほど落ちついちゃいられねえ」
っていう意識を忘れることがない。

オレの友人関係は趣味もタイプも違う奴が多いけど、ある種競争なのね。

口では言わないけどきっと肌では感じてると思う。

“留まったらおしまい”
ってね。

フグの電話にしたってそうだ。
きっと「これ言ったらタケシにウケるだろうな」と思ってたに違いない。

一応言っとくけど、フグをはじめ、オレの友人達はみんなある意味“常識人”なんだよ。

でもある種、常識的じゃないとエキセントリックになっても美しくないし、感動もない。

チューニング0(ZERO)というスタンスを持ちながら、どれだけ+と−に針が振れるか。

自覚してない自分のキャパシティーに出会える自分を楽しめるか。

そして望んでるか。

要するに
“振り幅”があるってこと。それは自分を決めつけない“美意識”なんだ。

“自意識”ではない。“自意識”は針がどこかにピッタリ治まってる状態だからね。

オレは、そんな“振り幅”を持った人が好きだ。そんな人には
「おもしろみ」がある。

しかも、幸せそうに見える。

逆に、いつでも0にビシッと治まってるようなスクゥエアなタイプや、
0に治まることなくいつもはずれてるようなアウトロータイプにはオレ自身「おもしろみ」を感じない。

ある程度、予想がついちゃうからね。意外性がない。

GoodでもBadでもなく、
About Tuning。

揺れがあったほうがいい。

揺れがあるからこそ自分ってやつが見える。

自分に対してのアウトサイダー的な視点を持ってるかどうかが振り幅に関係するんだろうな。きっと。

Destination Anywhere
(好きな言葉である。)
「いつだって、どこへでも行けるぜ」
っていう精神を持った奴を友人としてずっと連れ合っていきたいものである。

お互い笑わせ合いながらね。「お前、やるじゃん」ってね。

そんな奴がいてくれたら、
オレだってきっと大丈夫!アホな友達に感謝!